夢・もしや大麻
1996年
1月17日、山田順子はもういない
宿の前で昼間から飲んだくれている
そうは言っても、そんなに酒は強くない
ただ何となく、お酒を飲んでボーっとしてるだけ
同じ宿のフランス人が、声を掛けてきて一緒に飲む
言葉は通じないが、なぜか話をしている、なんとなく通じている感じがする
彼がタバコを勧めてきたが、俺はセブンスターしか吸わないからと、丁寧に断って
セブンスターに火をつける。
彼が少し吸わしてくれと言うので、タバコを交換して二三度吸ってまた交換
彼は日本のタバコは美味いと言うジェスチャーをするので、箱ごと彼にあげる。
少し酔ったのか、気分が悪くなったので部屋に戻り、ウトウトしてると
山田順子が、部屋に来てベッドに入ってくるじゃないですか!
うれしかったね~すぐにチュウチュウするが、なんか違う
夢、幻覚、部屋には誰もいない
ただお酒に酔ったのか、もしかしたらフランス人のタバコ?
いまさらジローだけどね
(当時薬物は簡単に手に入ると言われていた、私は興味がなかったから気にもしませんでした。)
夕方、なんとなく起きて、宿の前でまたビール。
一人で飲むと、思い出すのは、山田順子の事ばかり・・・
追っかけようかな~でもお金が・・・
旅での出会いは、心に刺さるね。
ため息ばかり、はぁ~
目の前に男が、「日本人?」、話しかけてきた。
私、「そうだけど」
「俺、わたる、よろしく」
「ここいい」と言って前の席を指して座る。
「2,3日前、可愛い子連れて歩いていたでしょ」
私「あ、うん」
なんか馴れ馴れしいな、でも山田順子の事、可愛い子と言われて
ちょっと嬉しい。
わたる、「カオサンに来てる日本人の中でここ最近の一番だね」
「彼女どこにいるの」
私「もういない」
わたる「振られたんだ」
私「なんやお前、喧嘩売ってるんか」(私大阪人)
わたる「自分関西か」
私「大阪や」
わたる「俺、堺」
(偏見でしたらごめんなさい、お母んから堺は大阪人と違うからとよく言われていた
因みに弟は堺の子と結婚する時、かなり反対されていた、今は仲良しやけど)
私「堺の男が何の様や」
わたる「そう怒りなや、自分カオサンの日本人の間で、ええ女連れてるって有名やったんやで」
私「・・・」
「有名ってそんな大袈裟な」
ちょっと心の中で喜んだ。
わたる「ホンマやで、でももう居ないのか、残念」
「自分モテるな~いつまでタイに居るん」
こいつ良くしゃべるな~まあ悪い奴じゃなさそうやけど、
私「順子ちゃん居なくなったから、そろそろ移動しようかな~と考え中」
わたる「彼女、順子って言うんや、ええ名前やな、俺もしゃべりたかったな~」
「連絡先聞いたん?」
私「いや聞きそびれた」
わたる「うそ~俺に教えたくないだけやろ」
私「ホンマや、だから一人寂しくビール飲んでんねん」
わたる「マジ、自分アホやな!
一生後悔すんで、あんないい女」
私「もうええねん、もう聞かれへんねんから」
(本当に後悔してる)
わたる「そうなんや、好きやったんや」
私「何言うてんねん、誰も好きとか言うてないやろ」
わたる「言うてる言うてる、その顔が」
私「・・・」
わたる「ここはタイ、バックパッカーの溜まり場カオサンロードやで!」
「世界中から女がやって来る所、男もくるけどな!」
笑いながら、俺のビールを飲み始めた。
なんだかんだ言ってこいつ、わたると夜遅くまで飲んでいた。